インフルエンサー は供給過多なのか。あるいは、選択肢の増加なのか | DIGIDAY[日本版]

インフルエンサーマーケティングが成熟し続ける中、多くの人が一つの懸念を抱えている。それは、インフルエンサー自体が飽和状態になることだ。 もし、ますます多くの若者がインフルエンサーになりたいと思うようになり(実際そうなっている)、そして多くのアカウントが多くのフォロワーを獲得するようになるならば(実際、TikTokで100万人以上のフォロワーを持っているアカウントの数は4万個近くにのぼる)、インフルエンサーマーケティングにおいて、インフルエンサー自体が飽和状態になるターニングポイントに近づいている、という懸念は被害妄想ではないかもしれない。 インフルエンサー、エージェンシーそれぞれの言い分 少なくとも、とあるインフルエンサー、ジョシュ・オストロブスキー氏(通称ザ・ファット・ジューイッシュ)は、そう考えている。彼は最近CNNに、「最終的にはインフルエンサー過多になり、市場は飽和状態となり、インフルエンサーによる投稿の価値は下がり続けるだろう。至極当然の市場における価値に関する説明だ。参加する人が増えれば増えるほど、ブランドにとっての選択肢は増えるが、各インフルエンサーの価値は下がる」と語っている。もちろん、オストロブスキー氏は、自身のワインブランドを宣伝し、伝統的なインフルエンサーマーケティング以外の事業の必要性について語る文脈で、このコメントをしていることは特筆すべきだろう。 インフルエンサー過多の懸念は理解できるものの、マーケターや代理店幹部、インフルエンサーマーケティングの専門家によれば、その懸念は大袈裟だと言う。彼らは、近い将来にこのターニングポイントが訪れるとは考えていないと言う。 ますます多くのインフルエンサーが現れている一方、成熟するインフルエンサーマーケティングに対しより多額、かつより多様な広告支出が投入されている、と代理店の幹部たちは言う。彼らによれば、従来型テレビの広告支出と比べて、インフルエンサーマーケティングは広告支出全体のほんの一部を占めているだけだ。 インフルエンサーマーケティングハブ(Influencer Marketing Hub)のデータによれば、今年のインフルエンサーマーケティングは210億ドル(約3兆540億円)に成長すると予測されている。一方、リニアテレビは今年613億ドル(約9兆円)を獲得すると、インサイダー・インテリジェンス(Insider Intelligence)は予測している。 インフルエンサー飽和による懸念は杞憂か ビレッジ・マーケティング(Village Marketing)の創設者であるヴィッキー・シーガー氏は、インフルエンサーたちが広告主であるブランドのための投稿から一定の報酬を受け取っているだけではなく、ブランドと一緒になってコンテンツ制作をし、またアフィリエイトマーケティングを通して収益も生み出している、と説明する。 「(マーケターたちは)クリエイターからもっと多くのものを求めている」とシーガー氏は言った。「コンテンツ制作に非常に秀でている人々がこれだけたくさん存在する。人々は、ソーシャルメディアで慣れ親しんだものに似ているコンテンツを好むし、そのコンテンツがウェブサイトやメールなど至る所で見られることを好む。だから、コンテンツクリエイターはエージェンシーの延長としての役割も果たしているとも言える。単純に『インフルエンサーが増えている』」という話ではない。 インフルエンサーマーケティングが成熟し続ける中、多くの人が一つの懸念を抱えている。それは、インフルエンサー自体が飽和状態になることだ。 もし、ますます多くの若者がインフルエンサーになりたいと思うようになり(実際そうなっている)、そして多くのアカウントが多くのフォロワーを獲得するようになるならば(実際、TikTokで100万人以上のフォロワーを持っているアカウントの数は4万個近くにのぼる)、インフルエンサーマーケティングにおいて、インフルエンサー自体が飽和状態になるターニングポイントに近づいている、という懸念は被害妄想ではないかもしれない。 インフルエンサー、エージェンシーそれぞれの言い分 少なくとも、とあるインフルエンサー、ジョシュ・オストロブスキー氏(通称ザ・ファット・ジューイッシュ)は、そう考えている。彼は最近CNNに、「最終的にはインフルエンサー過多になり、市場は飽和状態となり、インフルエンサーによる投稿の価値は下がり続けるだろう。至極当然の市場における価値に関する説明だ。参加する人が増えれば増えるほど、ブランドにとっての選択肢は増えるが、各インフルエンサーの価値は下がる」と語っている。もちろん、オストロブスキー氏は、自身のワインブランドを宣伝し、伝統的なインフルエンサーマーケティング以外の事業の必要性について語る文脈で、このコメントをしていることは特筆すべきだろう。 Advertisement インフルエンサー過多の懸念は理解できるものの、マーケターや代理店幹部、インフルエンサーマーケティングの専門家によれば、その懸念は大袈裟だと言う。彼らは、近い将来にこのターニングポイントが訪れるとは考えていないと言う。 ますます多くのインフルエンサーが現れている一方、成熟するインフルエンサーマーケティングに対しより多額、かつより多様な広告支出が投入されている、と代理店の幹部たちは言う。彼らによれば、従来型テレビの広告支出と比べて、インフルエンサーマーケティングは広告支出全体のほんの一部を占めているだけだ。 インフルエンサーマーケティングハブ(Influencer Marketing Hub)のデータによれば、今年のインフルエンサーマーケティングは210億ドル(約3兆540億円)に成長すると予測されている。一方、リニアテレビは今年613億ドル(約9兆円)を獲得すると、インサイダー・インテリジェンス(Insider Intelligence)は予測している。 インフルエンサー飽和による懸念は杞憂か ビレッジ・マーケティング(Village Marketing)の創設者であるヴィッキー・シーガー氏は、インフルエンサーたちが広告主であるブランドのための投稿から一定の報酬を受け取っているだけではなく、ブランドと一緒になってコンテンツ制作をし、またアフィリエイトマーケティングを通して収益も生み出している、と説明する。 「(マーケターたちは)クリエイターからもっと多くのものを求めている」とシーガー氏は言った。「コンテンツ制作に非常に秀でている人々がこれだけたくさん存在する。人々は、ソーシャルメディアで慣れ親しんだものに似ているコンテンツを好むし、そのコンテンツがウェブサイトやメールなど至る所で見られることを好む。だから、コンテンツクリエイターはエージェンシーの延長としての役割も果たしているとも言える。単純に『インフルエンサーが増えている』」という話ではない。 メカニズム(Mekanism)の最高ソーシャル責任者兼パートナーであるブレンダン・ガハン氏も、シーガー氏の考えに同意する。「確かにインフルエンサーは飽和しているが、インフルエンサーマーケティングに投入されるお金も増えている」と同氏は言う。「広告支出の種類も増えている。一度だけのブランド取引のためのもの、長期的なパートナーシップのためのもの、(インフルエンサーが)そんなに有名でなくとも、ブランドがインフルエンサーのスタイルやビジュアルが気に入っているために、クリエイターと一緒にコンテンツ制作をするための広告支出などだ」。 もちろん、インフルエンサーや広告支出が増えることで何らかの問題が起きることはないとは言えないが、インフルエンサー過多の懸念は、少なくとも現時点では、おそらく憶測にすぎないだろう。 ブランドの要求も細分化・多様化傾向に とは言え問題が問題がまったくないわけでもない。たとえば、インフルエンサーが細分化されたことで、ブランドも非常に細かく具体的な要求をする傾向にあり、一部のインフルエンサーエージェンシーでは要求を満たすのが難しくなっている問題だ。 「超ローカルなインフルエンサーマーケティングが求められる傾向が大きくなっていると」とスウェイ・グループ(Sway Group)の創設者ダニエル・ワイリー氏は説明する。「インフルエンサーの数が無尽蔵に増えているように思えるものの、実際のところブランドからのニーズも非常に細かくなっており、単なる有名インフルエンサーでは満たすのが難しくなっている。ある都市部の特定の店舗から20分以内に住んでいるインフルエンサーが求められる、なんて例もある」。 インフルエンサーが増えれば、選ぶオプションが増えるという点ではいいかもしれないが、それが良い結果をもたらすわけでもないと、IMGNメディア(IMGN Media)の戦略責任者であるノア・マーリン氏は説明している。「本当にいいインフルエンサーは単なるインフルエンサーではない、彼らは真のクリエイターだ」と同氏は言う。「たとえ一日に100万のインフルエンサーが市場に増えているとしても、それが100万のいいインフルエンサーであるとは限らない。それは、(既に存在する)良質のインフルエンサーたちが、実際どれだけ『良質』さなのかを思い知らされるきっかけとなるだけだ」。 [原文: Marketing briefing: Why concerns of influencer marketing oversaturation are overblown ] Kristina Monllos(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平) インフルエンサー は供給過多なのか。あるいは、選択肢の増加なのか Source…