TikTok で覚醒した、某飲料企業の インフルエンサー 戦略:「いまや数千人と仕事をしている」 | DIGIDAY[日本版]

TikTokはいま、見るからに成長期にある。ユーザー数は先ごろ10億人を超えた。ByteDance(バイトダンス)が有するこの人気プラットフォームには依然、広告枠に関していえば、基本的な部分の多くが欠けていると業界幹部は指摘する一方、マーケター勢はオーガニックに活用しており、バイラル動画によるブランド構築の可能性に期待している。 ひとつの成功例が、インフューズドウォーターブランドblk.の戦略だ。 カリフォルニアを拠点とする同社は2020年、TikTokで40万人を超えるフォロワーを獲得しており、1400万以上のユーザーが「いいね」を押した投稿では、セレブインフルエンサー、カイル・ジェンナー氏まで惹きつけた。blk.の戦略で特筆すべきはハッシュタグチャレンジやフルページテイクオーバーといった、TikTokが提供する広告枠を使わず、オーガニックコンテンツを活用している点だ。blk.は同アプリ用の動画を自社で、あるいはインフルエンサーと共同で制作している。 Advertisement ブランド認知向上への一手 同社の場合、この戦略はブランドアウェアネス向上への一手であり、インフルエンサーを活用して消費者の注目度を上げ、blk.の名を一般に浸透させたいと考えている。 「ペイドハッシュタグチャレンジ的なことはすべて試してみたが、弊社には合わないと判断した」と、blk.のビジネスデベロプメント部門VP、サマンサ・ラティナー氏は語る。氏によれば、創業10年を迎える同社はTikTokを利用するまで、インフルエンサーマーケティングにまったくと言っていいほど予算を割いていなかった。現在の広告費については、同社が正確な数字を公表しないため、定かでない。 blk.は複数のTikTokインフルエンサーとパートナー契約を結んでおり、そのひとり「ザ・ベンティスト(the Bentist)」ことドクター・ベン・ウィンターズ氏による投稿の再生数は1000万回に上る。同社が手を組んでいるインフルエンサーにはほかに、フード専門のTikToker、マット・ピーターソン氏をはじめ、ヴィーガンや同系統のインフルエンサーが数多くいると、ラティナー氏は語る。インフルエンサーとの契約料については、氏は明かさなかった。 「共同作業するインフルエンサー数は、週に20人だったのが、50人、100人と増えていき、いまは月に数千人と仕事をしている」とラティナー氏。「弊社がTikTokでこれほど人気を得ているのはやはり、インフルエンサーたちに対して、『クリエイターはあなただ。この商品をどうやって動画に組み込むのか、すべてあなたに任せる』と伝えているからだろう」。 投資のリターンはインプと認知 blk.の場合、TikTok戦略の主眼は売上増ではなく、投資のリターンはインプレッションおよびブランドアウェアネスの形で得ていると、氏は語る。同社広報によれば、総再生回数は700万回、ハッシュタグ#blkwaterの再生数は60万回を超える。また、売上を第一に考えずとも、TikTokでの人気がきっかけとなり、社名はまだ明かせないが、大手リテーラー勢との小売契約の話が進んでいると、ラティナー氏は語る。 同社はさらに、Facebookでも広告キャンペーンを実施しており、米小売大手のウォルマート(Walmart)、セントラル・マーケット(Central Market)、マイヤー(Meijer)との提携を広くアピールしている。同社製品は現在、パブリックス(Publix)やGNCといったスーパーマーケットチェーンのほか、地元に密着した健康食品店で販売されている。 近年の人気急騰を背景に、マーケター勢は引き続きTikTokへのオーガニックなアプローチに強気の姿勢を見せており、その根拠として同プラットフォームの高額な広告ツールや定額課金制を挙げる。米DIGIDAYが以前報じたとおり、TikTokは現在、Facebookおよびインスタグラムに対抗するべく、中小企業との提携の道を積極的に探っている。 とはいえ、頼りすぎては危険 つまるところ、できるだけ多くのインフルエンサーの手に自社商品を委ねるblk.の戦略は理に適っていると、メディアハブ・ワールドワイド(Mediahub Worldwide)のSVPおよびペイドソーシャルメディア部門ディレクター、エリカ・パトリック氏は指摘する。 「必ずバイラルにできる、といった安請け合いは好まない。バイラルは実際、離れ業を決めるようなものだからだ」とパトリック氏。「ただし、クリエイティブな人がしかるべき戦略に基づいて手をかければ、その可能性は十二分にある。それをインフルエンサーと実施すれば、投資以上のものが手に入りうる」。 ただし、ソーシャルメディア広告はインフルエンサーマーケティングに尽きる、というわけではない。この点について、広告エージェンシーのヒル・ホリデイ(Hill Holliday)のストレテジー&コンテンツ部門VP、フェイス・マーカム氏は広告主に対し、従来の広告手法をすべて捨てるのは危険であり、対価を介して得ただけのインフルエンサーの声とブランド自身が発する真のメッセージとのバランスを取ることが必要だと、警鐘を鳴らす。 「TikTokインフルエンサーから借り受けた権威と、彼らを熱心にフォローするオーディエンスは魅力的かもしれないが、発信内容が限定的になる恐れもある」と、マーカム氏はeメールで指摘する。「TikTokインフルエンサーに傾倒しているブランドは、自らが発信するコンテンツと自身に関するコンテンツとのバランスを取ることを考えたほうがいい」。 [原文:‘Now we work with thousands’: How getting on TikTok transformed this drink brand’s influencer strategy] KIMEKO MCCOY(翻訳:SI Japan、編集:長田真) TikTok で覚醒した、某飲料企業の インフルエンサー 戦略:「いまや数千人と仕事をしている」 Source link